パウチ包装

 

機能性、デザイン性はもちろん、今の時代は環境への配慮や食品ロス対策までが包装に求められるようになってきました。数ある包装のなかで、なぜ軟包装が選ばれているのでしょうか?棚から選ばれる商品づくりのために知っておきたい軟包装の種類や特徴をご紹介します。

私たちにとって、軟包装はとても身近な包装形態。ポテトチップスの袋や洗剤の詰め替え容器、マスクの袋などで見かけるように、食品や日用品、化粧品などの幅広い商品の包装に利用され、生活に溶け込んでいます。
では、なぜここまで幅広く取り入れられているのでしょうか? その理由には、エコな側面や資材の特徴など、軟包装ならではの利便性や機能性が挙げられます。軟包装の特徴やメリットを知っておくことで、商品棚でキラリと光るパッケージづくりの一助となりますよ!

包装とは?

軟包装の特徴を知る前に、まず基本的な包装の役割とバリエーションを見てみましょう。

包装が大切な商品を守りアピールする

包装には、商品が作られて消費されるまでの間に求められることがいくつかあります。
一つ目は、その包装によって商品の内容物を傷つけたり劣化させたりしないように、安全かつ衛生的に保つこと。さらに、商品が包装されたのち流通されるときには、運びやすく壊れにくいなど、扱いやすい包装形態であることがとても重要になります。例えば、工場からトラックに積まれるときの衝撃に耐え、長時間の振動でも破損しない、そんな包装があたりまえのように求められます。
二つ目は、販売促進効果のある包装であること。包装は「商品の顔」といえ、他の競合商品との差別化を図るためには、パッケージデザインなどの見た目の工夫が大切になります。
三つ目は、コストが適正であること。必要な機能を持ちながら、コスト計算に合う価格でなければなりません。
最後は、環境への配慮があること。使い終わればゴミとなる包装。リサイクルのできる素材を使用したり、軽量化を図ったりと、環境にやさしい商品であるかどうかも、現在は商品選定の指標のひとつとなっています。

代表的な包装材料

現在利用されている包装材料には、大きく分けて五つの形態があります。それは金属缶、ガラス瓶、プラスチック容器、紙箱、そして軟包装です。

金属缶:アルミやスチールなどの金属でできており、丈夫で密閉性、遮光性に長けた容器で、燃料や業務用調味料、穀物、缶詰などの用途があります。最近では徐々に清涼飲料水はPETボトルへ、燃料や調味料、食品はポリタンク、パウチへの置き換えが進んでいます。

ガラス瓶:主に液体の包装に採用されています。衛生面で優れているため、お酒などの飲料や醤油などの調味料で多く使われていますが、重くかさばるなど、輸送コストがかかるため、缶や紙パック、チルドパックなどへ移行が進んでいます。

プラスチック容器:プラスチック製で軽く丈夫、密閉性にも優れた容器です。飲料やシャンプーボトルなど、幅広く使われています。瓶や缶の容器を使うことの多かったワインボトルや調味料、医薬品などでも近年採用されています。

紙箱:軽いので持ち運びしやすく、紙ゴミとして処理できる魅力の容器です。丈夫さも追及され、重量のある液体にも対応できるものがあります。中には、常温保存可能なワインやソース、スープなどを入れられる容器も設計されています。金属缶やガラス瓶、プラスチック容器から移行しているものもあります。

軟包装:ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミなどの素材をラミネート(積層)加工し、機能を高めた包装材料です。全般的に加工しやすく、丈夫で、密封性も高いため、軟包装の用途は幅広く、食品、日用品、医薬品などに使われています。スタンドパウチ、スパウトパウチ、ミニパウチ、アルミパウチ、レトルトパウチなど、生活のなかで目にすることも多い包装材です。

だからこそ幅広く使われる! 軟包装の特徴

缶や瓶などのさまざまな包装材料があるなか、軟包装にはどのような特徴があるのでしょうか?

プラスチックの使用量が少ない

プラスチックフィルムを単体またはラミネート加工して作る軟包装は、プラスチックの使用量が少なくすむため、省スペースで軽量となり、流通のコストダウンなどにも対応でき、商品棚の陳列をすっきりさせることもできます。また省資源、省エネルギーとなり、環境にやさしい包装材料です。

商品に合わせて最適なフィルムを複数使用してカスタマイズできる

商品の香りや味、形状などを保つために、その内容によって最適なフィルムが多種類用意されています。
例えば、即席ラーメンやスナックなどを包装する場合は、バリア性や密封性が求められるため、主にポリプロピレンフィルムとPETをラミネート加工したフィルムが使われています。

美しい印刷が施せる

プラスチックフィルムのため透明性が高く、インキとの相性も良いため、にじみなどがなく美しく印刷することができます。さらに、中身が見える窓付きパウチや、箔をのせてキラキラ光るような表面加工ができるなど、可能なデザインの幅が広く自由度が高いです。

軟包装の代表格 パウチ包装は付加価値が決め手

パウチ包装のパウチは小袋という意味で、袋の形態でフィルム包装したものをパウチ包装といいます。最近はさまざまなフィルム素材が開発され、商品の内容によって選択することが可能になっています。パウチ用プラスチックフィルムには、酸素バリア、水蒸気バリア、UVカット、保香性、電子レンジ対応などがあります。これらの機能は付加価値に結びついていきます。

より長持ち・よりおいしいという付加価値

例えば、“購入したある商品をしばらく置いておいたら、酸化して味が落ちてしまった。でも、酸素バリア性の高い包装で守られた別の商品は、同じくらい日にちが経ってもおいしく食べられた”という経験をすると、次からどの商品を購入するかは明白ですよね。また、保香性のある素材で包装されたコーヒー豆と、そうでない包装のコーヒー豆では、同じクラスの豆であっても、香りが長持ちするほうがおいしいコーヒーと認識されるでしょう。
このように、酸化防止や保香性など、包装される商品によっては求められる機能があります。しかし、このような機能を持つフィルムは、都合よく単一で存在するわけではありません。
例えば、ポリエチレンフィルムは、ヒートシール性が良いのでよく使われますが、酸素バリアができないため、このままでは酸化を防ぎたい内容物の包装には向きません。また、ナイロンフィルムは強度がありますが、ヒートシールができない素材です。しかし、この二つのフィルムをラミネート加工することで、密封性があり、強度もある複合フィルムができあがります。このフィルムはナイロンポリと呼ばれ、冷凍やボイルができ、真空包装にも適しています。

より便利という付加価値

商品を利用するときに便利で扱いやすく、いわゆる「かゆいところに手が届く」包装であったなら、ターゲット顧客のお気に入りの商品になるかもしれません。
例えば、電子レンジで温めるだけで食べられる商品があったとします。それだけでも便利なのですが、お皿に中身を移さず、封を開けずに、そのままポンと電子レンジに入れて温められたなら、さらに手間が省けます。軟包装であればスペースを取らない形状であるとともに、調理時に膨張した袋が破裂しないための蒸気口をつけることが可能です。
また、一袋食べきることができないお菓子や食材に、簡単に閉じられるチャックをつけることもできます。オフィスで小腹がすいたときにおやつをつまみたい人なら、開けてしまったら閉めにくい製品よりも、再び封ができるお菓子の袋を手に取るかもしれません。
このように、軟包装は、「他の商品と比べて、より便利だ!」と思える機能をつけることができ、そしてそれが付加価値になるのです。

より自分らしい・より好みに合っているという付加価値

パッケージデザインや商品が自分に合っている感覚。より自分らしい・より好みに合っていると感じさせるポイントも付加価値のひとつです。
パウチ包装なら、中身の見える窓付きのパウチ、さらに箔を押してキラキラした表面加工をすることができます。パッケージデザインはもちろん、手触りや質感も商品の印象を決める大切なポイント。プラスチックフィルムの表面にはグロスフィルム、マットフィルムなど、さまざまな質感のフィルムを使用することができます。
商品ひとつに、パッケージはひとつでなければならないというルールはありません。化粧品ひとつ選ぶにしても、かわいらしい印象の色やイラストが入ったものに惹かれる人もいれば、クールな印象の色やイラストの入ったものに惹かれる人もいます。同じ中身でも違うパッケージデザインを施し、複数パターンのデザインを用意すれば、好みが多様化している現代でも、消費者がそのうちのひとつを「自分らしい商品」として商品を手に取ってくれる可能性が増えることでしょう。

デジタル印刷は、版が不要で、小ロットで印刷することができるので、バリエーションに富んだパッケージデザインをつくりだすことができます。

パウチ包装の特長を生かして魅力ある商品パッケージに!

パウチ用フィルムは多種多様

パウチ包装によく使われるのが、アルミ袋、スパウトパウチ、スタンドパウチ、ミニパウチ、スティックなどです。
こちらを少し掘り下げてみましょう。

アルミ袋・アルミ蒸着袋

アルミ袋は、酸素や水蒸気、光からのバリア性が高く、香りなどを逃がしにくいなど、フィルムの材質のなかでいろいろな機能を持っている素材です。アルミ袋には、アルミ袋、アルミ蒸着袋の二種類があります。

アルミ袋

アルミ袋は、アルミ箔を使用したパウチ包装です。アルミ箔は、他の素材よりもバリア性が高いのですが、素材の柔軟性がなく、PETやナイロン、ポリエチレンなどのプラスチックフィルムと合わせて使用することで、扱いやすく、バリア性が高いフィルムになります。代表的なラミネートは3~4層で、袋の外側から内側の順に「PET/アルミニウム/ポリエチレン」、「ナイロン/アルミニウム/ポリエチレン」、「PET/ナイロン/アルミニウム/無延伸ポリプロピレン」のように、アルミ箔はプラスチックフィルムの間にラミネートされています。
アルミ袋の例:微妙な環境変化を嫌い、高いバリア性が必要なコーヒーや茶葉、医薬品、電子部品などの精密機器商品に使われます。

アルミ蒸着袋

真空釜のなかにプラスチックフィルムを通し、そのなかでアルミニウムを蒸着させ(アルミニウムを加熱し、蒸発させ、プラスチックフィルムの表面に付着させること)、薄い膜で覆ったフィルムを利用したパウチ包装です。蒸着させるベースとなるプラスチックフィルムは、PET(ペットボトルの素材と同じ)が強度、耐熱性、バリア性に優れているためよく使われます。アルミ袋のほうが湿気、酸素、光のバリア性は高いですが、アルミ蒸着袋は光沢があり、軟らかいため、主にデザイン性を求める包装に使用されます。
蒸着袋の例:ポテトチップスなどのように、酸化を嫌うけれどもプラスチックフィルムの扱いやすさが必要な食品や、化粧品など、パッケージをおしゃれに飾りたい包装などに使われます。また、アルミを施さない部分に窓をつけることで、商品の中身を見せてアピールする包装手法などもあります。

このように、アルミ袋とアルミ蒸着袋は、内容物によって使い分けられます。
アルミ袋は、丸めて強く握ってみると元に戻りづらいなど、金属の特性が強く出ています。デリケートな製品をより安全に保存するために使用するとよいでしょう。
アルミ蒸着袋は、蒸着層の厚みが薄いため、アルミ袋よりはバリア性は低いのですが、プラスチックフィルムよりは維持されています。また、ホログラムやメタリックカラーなど、さまざまな種類にコーディネートできるので、デザイン性の高い商品のパッケージに向いています。

アルミ袋とアルミ蒸着袋の魅力的な活用法

スパウトパウチ

スパウトパウチは日本で発明された包装形態です。食品ではゼリー飲料や調味料、日用品ではシャンプーや洗濯洗剤などの詰め替え用の包装として、目にしたことのある方が多いでしょう。プラスチック製注ぎ口がついており、中身を使いきらなくても、また封をしておくことができるのが特徴です。
便利なスパウトパウチですが、詰め替え用としてだけではなく、プラスチック製の容器や瓶など、他の容器からの移行が増えているのはご存知でしょうか?
一般的に、店頭で洗濯洗剤などの詰め替え用ボトルと硬いプラスチックボトルを比較すると、同じ量でも詰替え用の方が、値段が少し安くなっています。スパウトパウチをはじめ軟包装は、ボトルや瓶などに比べて軽く、省スペースなため、輸送コストを大幅に抑えることができます。また、パウチは袋ですから、容器自体の金型を作る必要がありません。そのため初期投資を抑えることができるのです。
次に、一度購入したプラスチックや瓶などの容器の中身がなくなれば、詰め替えて繰り返し使うことが多いですが、近年、詰め替えを行わずにスパウトパウチのまま使うという使用法も増えつつあります。スパウトパウチは蓋がついているので、再封できる仕様となっていることはもちろん、スパウトパウチをそのまま使うためのグッズなども販売されているため、使おうと思えば、商品を移し替えることなく、そのまま使える場合が多いのです。

海外に目を向けてみると、スパウトパウチは、1995年にアメリカのパッケージングコンテストであるデュポン・パッケージング賞(現在のダウ・パッケージング賞)で、日本企業初の最優秀賞を獲得しています。これを機に、世界でもスパウトパウチの存在が広く知れわたりました。今や、アメリカのベビーフードは、ほぼ半分の製品が伝統的なガラス容器やプラスチック複合容器から、スパウトパウチに置き換わっているといわれています。合理的なアメリカでは、持ち運びが便利で、キャップを外すだけでそのまま食べられ、スプーンなどで中身に直接触れないため衛生的、というようなところが受け入れられたのでしょう。さらに、安全性が大切な乳児向けの製品のため、キャップは誤飲しないように大きめにつくられているそうです。このような利便性から、日本でも、スパウトパウチ型のベビーフードが一般的になるかもしれません。

スパウトパウチから目が離せない!容器に革命を起こした秘密

スタンドパウチ

スタンドパウチは、底ガゼット(底マチ)をつけることによって安定感が生まれ、立てておくことが可能となった袋状の包装形態です。この包装は、フランスから技術導入され、1970年ころから徐々に浸透を始めました。コンビニエンスストアの出店が増えてくるのと同時に、省スペースで商品を陳列できるスタンドパウチは勝手がよく、一気に脚光を浴びることになりました。また、核家族化の進行によって、よりコンパクトな商品が売れるようになり、市場が広がりました。
それとともに、スタンドパウチの形態も進化しています。例えば、陳列場所を広げ、さまざまな位置から商品を手に取ってもらえるよう、フックにかけられるような穴をつけたり、重さや摩擦に強いフィルムを使用することで、流通の際に傷がつかないようなスタンドパウチを作ったり、ヘアケアやコスメ、生活用品のセット販売に適したスタンドバッグタイプが開発されたりしています。加えて、品質保持機能をアップした高バリアなもの、中の製品がよく見える透明窓のついたスタンドパウチなど、用途に適したバリエーションは多岐にわたります。
省スペースがメリットのスタンドパウチですが、逆転の発想もあります。ボールペンなどの細くて商品棚で目立ちにくい商品をスタンドパウチに入れることで面積が広がり、アイキャッチ効果を得ることができるのです。また、完成品を二次包装としてスタンドパウチに入れ、キャンペーンなどに活用することもできます。
デザインの自由度が高いのも、スタンドパウチの利点。スタンドパウチに使用される素材の多くはプラスチックフィルムのため、インキのつきもよく、パッケージ印刷も、美しく目を引くようなデザインのものが増えています。
このように、スタンドパウチを利用することで、商品に存在感を出すことも可能です。注目度を上げるために是非活用してみましょう。

スタンドパウチについて

ミニパウチ、スティック

ミニパウチは、液体、錠剤、粉末などの少量を個包装したものを指します。代表的なものは、一回使いきりタイプのシャンプーとコンディショナー。携帯しやすく、旅行やお出かけに大変便利です。少量の粉末には、胴の部分から手切りが可能で使いやすい、スティックタイプの包装もあります。
ミニパウチの調味料は、個包装で便利なことはもちろん、一般的な入れ物よりも空気に触れづらく、風味を逃さない効果があります。栄養ゼリーなど毎日決まった量を摂取したい場合も、定量でパックされているので簡単に利用することができます。扱いやすく、毎日の生活に取り入れたい感覚を与えてくれる包装形態です。
日常生活に溶け込んでいるミニパウチ、スティックは、試供品などにも利用されています。商品の魅力を知ってもらうため、パッケージはとても大切な情報源。パッと目を引くデザインや商品の情報を上手に入れることが大切なため、美しい印刷が施せる素材や形状を選ぶこともポイントです。
また、商品の生産で作業効率はとても大事。ミニパウチは、アッセンブリ(箱詰め)がしやすい連結パウチという、ミニパウチをつなげた形での生産もできます。試供品などは、生産量をコントロールする必要があります。そこで使えるのがデジタル印刷です。版を必要としない印刷手法なので、中小ロットにコストメリットがあります。生産量や販売戦略に合わせて、効率的に利用していきましょう。

ミニパウチについて

それでは、スティック包装が活用されている事例を見てみましょう。

コンシリエーリ One no himitsu(オネエのヒミツ) パウダースティック 株式会社 コンシリエーリ 様

コンシリエーリ One no himitsu(オネエのヒミツ) パウダースティック 株式会社 コンシリエーリ 様

美容パウダーをスティックタイプに個包装している商品です。商品の劣化を防ぎ、携帯しやすいという特徴があります。また、20種類のオネエの格言をのせ、QRコードからはオネエのプロフィールや、お店の紹介ページを見ることができるという、話題性のある楽しいパッケージになっています。包装の便利さだけではなく、女子力に敏感なオネエが繰り広げる世界観に癒やされたり、勇気づけられたりと、気分を上げてくれる楽しさもあります。

軟包装がもたらすメリット

デザイン性や利便性以外にも、軟包装の商品を選ぶことで社会貢献につながるというメリットもあります。進化を続ける軟包装を利用することで、具体的にどのような社会貢献ができるのでしょうか。

軟包装は食品ロスや輸送コストの削減に寄与

世界には今、食品ロスという社会問題があります。生産された食料の約三分の一が廃棄されているというのが現状。もちろん日本も同様で、食品廃棄物の量の多さは、アジアで一番ともいわれています。このような事態を解消するために、世界ではさまざまな取り組みがなされています。
例えば、フランスでは食品廃棄禁止法という法律をつくり、売れ残った食品をボランティア団体に寄付することを義務づけています。また、スペインでは「連帯冷蔵庫」と呼ばれる冷蔵庫があり、余った食材を入れて、誰でも自由に持ち帰れるようにしてあるそうです。その問題は『0円キッチン』などの映画にもなり、食品ロスへの注目度や対応への動きは高まっています。
さて、日本はというと、賞味期限が近くなった食品を閉店間際の大安売りや、訳アリ商品として価格を下げて販売したり、廃棄した食料のなかで使えるものは家畜のえさとして再利用したり、加工して肥料にしたりして、努力はしているものの、なかなか食品ロスが減らないのが実情のようです。その理由としては、日本人の安全意識の高さ、賞味期限などが世界に比べて短いことが挙げられています。
そこで、包装業界では賞味期限を長くするフィルム素材を開発するなど、さまざまなアプローチで食品ロスを減らす動きを見せています。ここでは、食品ロスにつながる容器・包装の例をいくつかご紹介します。

鮮度保持

醤油のボトルから、逆止弁をつけたパウチ包装に変えることで、開封後の鮮度保持と酸化防止が実現しました。このことにより、従来の包装形態よりも鮮度保持期間が6倍ほど長くなったといわれています。

容器包装の改善

複合フィルム包材のバリア性の改善や、脱酸素包材の利用によって、封入時の風味や食感を保つことができるようになりました。また、ミニパウチなどによる個包装により、品質保持が見込めます。

熱による食品システムの導入

脱気や熱に強い包材を利用することで、総菜によっては、チルドで一ヵ月以上の賞味期限を実現できます。

輸送コストの削減

他の包材よりも軽く、スペースを取らない軟包装を使用することで、輸送時のコストを削減することができます。

使い終わってからの軟包装

軟包装は袋状のものが多く、他のプラスチック容器に比べてコンパクトなつくりです。また、商品の中身をすべて使いきってしまえば、ペタッと平面化するのでたたみやすく、小さくまとめることができます。紙パックなどのように解体して捨てることは手間となり、缶や瓶などはかさばるため、捨てやすい包装であればあるほど、消費者に好まれるといえるでしょう。
また、軟包装は他のプラスチック容器と比べて、使用されているプラスチック量が少ないため、ゴミの量を減らすことができます。さまざまな素材を複合させるラミネートフィルムなどの再利用については課題がありますが、最近では、リサイクルできるよう研究する動きも出てきています。
廃棄処理がしやすく、環境にやさしい商品であるかどうかは、今後さらに避けて通れないこととなっていくでしょう。

缶、瓶、プラスチック容器など、さまざまな包装があるなか、頭角を現しているのが軟包装。バリア性など高機能のものが多く、省エネルギーでエコな包装形態です。プラスチック素材であるためインキとの相性も良く、美しく鮮明なパッケージ印刷も可能なため、デザインの自由度も抜群。さらに食品ロスを軽減する取り組みも増え、これからの包装を担っていく可能性も秘めています。
このように、たくさんのメリットがある軟包装をうまく使えば、商品棚の中で存在感を出す商品を生み出すことができるかもしれません。

参考