パウチ包装

 

スパウトパウチの斬新さは、スパウト(注ぎ口)。それによって「再封性」を得て、「エコ」という特長によって市場を拡大してきました。その背景にあるのは、環境問題。世界中がSDGsに取り組むなか、環境負荷を減らす商品パッケージとして注目されているのです。

「スパウトパウチ」とは、キャップの付いたパウチのこと。スパウトという言葉は、水まわり関係の部品やベビー用品で耳にすることが多いかもしれません。水道の蛇口(吐水口)や、ベビーマグに付いている吸い口を指し、「液体が噴き出す」という意味の英語が語源です。スパウトパウチのスパウトも同様で、内容物の出てくる部分、つまり「注ぎ口」を指します。スパウトはとても画期的なアイデアで、スパウトパウチはパッケージ業界で注目の容器です。なぜスパウトパウチが選ばれるのか、その理由と活用方法を見ていきましょう!

スパウトパウチが選ばれる理由

スパウトパウチのほとんどがスタンドパウチです。そのため、しっかり自立するという利点に加え、スパウトが付くことで得られる「再封性」が備わっています。また、「環境負荷の軽減」という昨今の企業活動における重要なテーマにもかかわりがあります。このふたつのポイントを軸に、スパウトパウチが選ばれる理由をひもといていきましょう。

再封性で広がる世界

かつては軟包装の弱点といわれていた再封性。それを解決したのは、スパウトやチャックなど別のパーツを付けるというアイデアです。パウチの密封性や利便性といった強みに、再封性が新たに加わったことで、用途の幅が大きく広がりました。特にスパウトは、空気に触れる面積が小さいため、内容物の劣化を防ぎながら、「必要なときに必要な量だけ使う」を可能にしました。
これは、それまでの常識をくつがえすような発想の転換にもなったのです。一例として、しょうゆのパッケージが挙げられるでしょう。かつてはガラス瓶やプラスチックボトルで売られ、しょうゆ差しに移し替えて使うのが当たり前でした。今では、スパウトパウチのまま使うという利用法が、日常的になっています。

ただ、スパウトは便利な反面、コストがかさむため、安価な商品には向かないという課題がありました。しかし、再封性といっても、簡易的に封ができればいいものや、数時間だけ封をして保存できれば十分なこともあります。商品が使われる状況をかんがみて、スパウトを用いずに再封できる研究や開発も進んできました。そのなかから、傾けるだけで中身が出る注ぎ口といった斬新(ざんしん)なアイデア商品も生まれています。スパウトパウチの難点から生まれた、次世代の「スパウトパウチ」にも注目です。

エコ容器として、環境負荷を軽減

少し前まで、スパウトパウチといえば、シャンプーやリンスなどヘアケア用品の詰め替え用パッケージでした。詰め替え用パウチが登場したのは、地球温暖化が深刻さを増し、環境問題への意識が高まった時期です。時代背景にあと押しされて、詰め替え用パウチは、またたく間に浸透しました。「詰め替え」という行為は、「文化」といっても過言ではないほど、いまや私たちの生活に根付いています。「詰め替え」の習慣化は、とてもエコな行為で、環境負荷の軽減につながります。しかし、スパウトパウチのエコはもっと深いのです!
前述のとおり、多くのスパウトパウチは、スタンドパウチの機能を持ち合わせています。しっかりと自立するうえにスパウトが付くのだから、「このまま容器として使えるよね!」と考えるのは自然の流れかもしれません。いま、スパウトパウチは、詰め替え用パッケージというだけでなく、ガラス瓶やプラスチックボトルと並ぶ新たな容器として定着しつつあるのです。なぜ、そこまで躍進したのでしょうか。サプライチェーンをたどっていくと、スパウトパウチがいかにエコであり、容器として選ばれる理由が見えてきます。大きく三段階に分けて、確認してみましょう。

まず、生み出される段階です。この時点で、資源の節約による環境負荷の軽減が実現しました。
例えば、シャンプーの詰め替えパッケージの場合、従来のボトルに比べて、プラスチックの使用量は約80%削減できるといわれています。

次は、在庫管理の段階です。ガラス瓶やプラスチックボトルなどの剛性容器とは違って柔軟性があるため、かさばらずに省スペースでの保管が実現しました。確保すべきスペースは、同じ容量のプラスチックボトルの5分の1で済むともいわれています。
最後は、輸送の段階です。軽量化されたことで輸送効率が向上したため、二酸化炭素排出量削減につながりました。

そのほかの段階でも、環境へ配慮した取り組み、研究、開発が進みました。資源調達の段階では、素材そのものの見直しが行われています。また、商品パッケージに欠かせない印刷では、環境にやさしい技術や素材への転換が推奨されています。
例えば、デジタル印刷では小ロットでの生産が可能となり、「必要なときに、必要な数だけつくる」が実現しました。過剰につくらないことは、資源の節約となり、不要な在庫を減らします。素材では、再生ペットフィルムが使われるようになりました。こうした一連の流れは、いうまでもなく、原材料としてのプラスチックの削減となり、さらには廃プラスチックや海洋プラスチックゴミの削減へとつながります。

このように、スパウトパウチが環境負荷を軽減できる理由は多岐にわたります。世界中でSDGs(持続可能な開発目標)をめざす時代において、商品パッケージとして注目されるゆえんでもあるのです。

さまざまな分野に広がるスパウトパウチ

ここでは、スパウトパウチがどのように使われているのかを、3つの分野から見ていきます。

1. 食品・飲料

スパウトパウチは、液体だけではなく、半固形物にも対応できるため、菓子、調味料、アルコールなど幅広い品目で使われています。さらなる広がりを見せていて、介護食(スマイルケア食)や、非常食のパッケージとしての需要が高まっています。また、海外では、スパウトパウチ入りベビーフードの市場が拡大中です。売上が伸びている理由は、「殺菌されているから常温保存できる」、「器やスプーンが不要で持ち運びに便利」などが指摘されています。スパウトパウチはさらなる可能性を秘め、食品・飲料分野における今後の商品展開から目が離せません。

2. トイレタリー

トイレタリー用品では、詰め替え用パッケージとして目にする機会が多いでしょう。スパウトパウチは、中身を詰め替えれば捨てられる宿命であるにもかかわらず、そのまま容器として生活に取り入れられている例も少なくありません。ヘアケア用品を例にすると、ボトルに詰め替えず、スパウトパウチの注ぎ口から直接シャンプーを出して使うということです。もともと利便性の高いスパウトパウチに少しの工夫を施すことで、詰め替えるよりも快適に使えるというのは興味深い事例です。

3. 化粧品

スパウトパウチは、化粧水や乳液などの詰め替え用パッケージとしても使われてきました。海外では、短期間で使いきれる分量のスパウトパウチに入った化粧品が登場し、注目されています。軽量で、コンパクトに持ち運べるため、スパウトパウチの活用シーンは、今後さらに増えるでしょう。

再封性という強みを持つスパウトパウチは、いまではガラス瓶やプラスチックボトルに匹敵する容器となりました。環境負荷を軽減するというメリットを考えれば、ガラス瓶やプラスチックボトルに置き換わる容器といっても過言ではないかもしれません。
止まらない地球温暖化、大量の海洋プラスチックゴミをはじめとする環境問題は、全世界で取り組むべき緊急の課題です。このような時代にあって、商品パッケージにも環境への配慮が求められています。その答えのひとつとして、スパウトパウチはさまざまな商品のパッケージに活用されているのです。

まとめ


スパウトパウチについてご紹介いたしました。
Pro-perでは、小ロットからオリジナルのスパウトパウチ作成や、環境に配慮したスパウトパウチ作成など、お客様のニーズに合わせてデザイン、印刷、加工まで専門スタッフが丁寧に対応いたします。
スパウトパウチをお求めの方は、是非Pro-perのスパウトパウチをご検討ください。スパウトパウチに関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にPro-perまでお問い合わせください。

 

参考

  • 『パッケージデザインを学ぶ 基礎知識から実践まで』(株式会社 武蔵野美術大学出版局、書籍)